雨期の大氾濫が、世界最大級の淡水湿地に生命のゆりかごをつくる

パンタナル自然保護区

Pantanal Conservation Area

水が満ち、引くたびに現れる小湖と草原が、驚くほど多様な命を育てている。

パンタナル自然保護区のミニチュア

概要

ブラジル、ボリビア、パラグアイにまたがる世界最大級の淡水湿地パンタナルのうち、ブラジル中西部の4保護区を登録した自然遺産。雨期の氾濫が養分を運び、水鳥の繁殖地と多様な生物の生息域を生み出す。登録区域は総面積1,878km²以上だが、湿原全体のごく一部である。

  • ブラジル
  • 自然遺産
  • 2000年登録
  • 検定2級

見どころ

パンタナル自然保護区の氾濫原に広がる水路と季節的な小湖群

雨期の氾濫がつくる小湖群

10月から4月の雨期に広大な大地が水に覆われ、減水期には一時的な小湖が無数に残る。蛇行する川、小湖、巨大なスイレンがつくる景観が見どころ。

パンタナルの湿地に集まる水鳥と枝にとまるコンゴウインコ

水鳥と絶滅危惧種の楽園

約650種の鳥類をはじめ、数百種の魚類と多様な哺乳類・爬虫類が生息する。コンゴウインコ、オオカワウソ、オオアリクイなどを支える生物多様性に注目したい。

地理

ブラジル中西部、マットグロッソ州南西部からマットグロッソ・ド・スル州北西部のボリビア国境近くに位置し、4つの保護区で構成される。総面積は1,878km²以上で、ブラジル側パンタナルの約1.3%にあたる。湿原そのものはブラジル、ボリビア、パラグアイにまたがるが、世界遺産に登録されているのはブラジル部分である。

この地域にはクイアバ川パラグアイ川という二大水系の源流がある。10月から4月の雨期には河川が各地で氾濫し、大地が広く浸水する。水が運ぶ養分によって土地が肥沃になり、雨期の終わりに水が引くと一時的な小湖が無数に現れる。小湖群と巨大なスイレンが独特の美しい景観をつくる。

登録基準(vii)は類まれな自然美、(ix)は淡水生態系で進行する生態学的・生物学的過程、(x)は絶滅危惧種を含む生物多様性保全上重要な生息域を評価する。季節的な氾濫そのものが景観・生態過程・種の多様性を同時に支えている。

パンタナル自然保護区の風景

歴史

長い地質時代の出来事ではなく、現在も毎年繰り返される増水と減水のサイクルがこの遺産の核心である。雨期の浸水は栄養を広げ、肥沃な氾濫原を水鳥の繁殖地へ変える。水が引いた後の小湖は魚類や鳥類などを支え、淡水湿地の生態系が動的に更新されていく。

鳥類はコウノトリ類やトキ類を含む約650種、魚類300〜400種、哺乳類約80種、爬虫類約50種が確認される。コンゴウインコ、オオカワウソ、オオアリクイなどの絶滅危惧種にとっても重要な生息域である。2000年、登録基準(vii)(ix)(x)で世界遺産に登録された。

参考

  • UNESCOPantanal Conservation Area
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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