概要
ドイツ南部バイエルン州の丘に立つ、ロココ様式の巡礼教会。1738年の『ヴィースの奇跡』を契機に礼拝堂が築かれ、1745年からドミニクス・ツィンマーマンが現在の教会へ改築した。淡い色彩のフレスコ画と金色のストゥッコ装飾が壁から天井へ連続し、軽快で優美な内部空間を形づくる。
見どころ
壁と天井の境界を消すロココ装飾
壁から天井へ境目なく続くフレスコ画を、白・金・淡い色彩のストゥッコが囲む。建築と絵画、化粧漆喰が一体化したバイエルン・ロココの傑作である。
『ヴィースの奇跡』を伝える主祭壇
1738年に涙を流したと伝えられる木彫りのキリスト像を納める祭壇。『ヴィースの奇跡』への巡礼が、現在の教会建設の出発点となった。
地理
ドイツ南部バイエルン州、アルプス前縁のヴィースの丘に立つ巡礼教会である。緑の牧草地に白い外壁と鐘楼が浮かぶ素朴な外観に対し、内部には淡い色彩と金を用いた軽快で優美なロココ様式の空間が広がる。
内部では壁と天井の境目が消えるようにフレスコ画と装飾が連続する。ストゥッコは、金網を貼った上へ化粧漆喰を何度も塗り重ねる技法で、平面と立体を滑らかにつなぎ、明るく躍動する室内をつくる。
歴史
1738年、木彫りのキリスト像が涙を流したとされる「ヴィースの奇跡」が起こり、像を納める礼拝堂が建てられた。増え続ける巡礼者を迎えるため、1745年に建築家・ストゥッコ装飾師のドミニクス・ツィンマーマンが、この礼拝堂をもとに現在の教会への改築を始めた。
建築の主要工事は1745~1754年に進められ、1757年に完成した。ドミニクスの兄で画家のツィンマーマンがフレスコ画を担当し、兄弟の協働によって壁、天井、絵画、ストゥッコが溶け合う空間が生まれた。バロックの延長上で発達したロココ様式の軽快さと優美さを代表する。
1983年、創造的才能を示す傑作であり、巡礼文化とロココ建築を伝える証拠として、登録基準(i)(iii)で世界遺産に登録された。2011年には登録範囲が変更された。
