概要
ザグレブの南約100kmに広がるクロアチアの自然遺産。炭酸カルシウムが沈殿して成長する石灰華の天然ダムが、大小16の湖と92の滝をつくる。数千年を経ても続く地質・生態学的過程と、ヒグマやオオカミ、126種の鳥類を育む森林が一体で守られている。
見どころ
16の湖を結ぶ92の滝と石灰華
大小16の湖を92の滝が結び、炭酸カルシウムが沈殿してできた石灰華の堤が水をせき止める。滝が新しい堤と湖を育てる動的な景観である。
湖を守る森林と大型哺乳類
湖群の集水域を覆う森林は、水質を保ちながらヒグマ、オオカミ、126種の鳥類を育む。地質現象と生態系が互いを支えることが登録価値の柱である。
地理
クロアチアの首都ザグレブから南へ約100km、約295km²の森林地帯に広がる国立公園である。プリトヴィツェ川沿いの大小16の湖が92の滝でつながり、湖水は光と水深、含まれる鉱物によって青緑から深い青まで色を変える。周囲の森林にはヒグマやオオカミなどの哺乳類と126種の鳥類が生息する。
川の水には、大理石やチョークの主成分でもある炭酸カルシウムが多く含まれる。水中の生物やコケなどの働きも加わって炭酸カルシウムが沈殿し、石灰華の天然ダムを成長させる。ダムが水をせき止めて湖をつくり、越流が滝となる地質・生態学的過程は、数千年を経た現在も続いている。
歴史
プリトヴィツェ湖群は数千年にわたる石灰華形成で生まれ、1949年に国立公園となった。1979年、自然美、地形形成、生態学的過程が評価され、登録基準(vii)(viii)(ix)で世界遺産へ登録された。
クロアチア領内のセルビア人地区をめぐる戦闘が1995年まで続いたクロアチア紛争では、公園も被害を受けた。武力紛争は遺産を重大かつ明確な危険へさらすため、1992~1997年に危機遺産リストへ記載された。戦後、クロアチア政府が地雷撤去と保全措置を進め、1997年に危機遺産を脱した。2000年には湖群の集水域と地下水系をより広く守るため登録範囲が拡大され、現在は環境保護のため一般車両の公園内進入を禁じている。
