概要
中国の青海チベット高原北東端に広がる、世界最大かつ最高度とされる高原地域です。高山山脈と草原の大部分は標高4,500m以上にあり、年間平均気温は0度を下回ります。厳しい地理・気候が固有性の高い生物相を育み、絶滅のおそれがあるチベットカモシカ(チルー)の重要な生息域となっています。
見どころ
チベットカモシカが渡る大草原
開けた草原で群れを探すと、細い角と淡い毛色のチベットカモシカが長い列で移動する姿に出会えます。動物だけでなく、その行動を支える広大で連続した生息域が見どころです。
氷点下の気候に適応した固有の生態系
湖畔の地表近くには、強風と寒さに耐える背の低い植物が広がります。遠景の高山と草食哺乳類まで一緒に見ることで、地理・気候・生物多様性のつながりを実感できます。
地理
青海チベット高原の北東端に位置し、標高4,500mを超す高山山脈、広大な草原、湖沼や河川が連続します。世界最大で最高度の高原とされる大スケールの地形と、年間平均気温が0度を下回る寒冷・乾燥環境が、ほかでは見られない自然景観を形づくっています。
この厳しい条件が独自の生物多様性を生み、教材では植物種の3分の1以上が草原の固有種で、草食哺乳類もすべてこの草原に固有と整理されています。登録基準(vii)は類まれな自然現象や優れた自然美を、基準(x)は絶滅危惧種の生息域を含む生物多様性保全上重要な自然生息地を評価する基準であり、壮大な高原景観と固有性の高い生息環境がそれぞれに対応します。
歴史
長く人の影響が限られてきた高地に、寒さ・低酸素・乏しい植生へ適応した動植物群集が形成されました。なかでもチベットカモシカ(チルー)は、絶滅のおそれがある高原を象徴する哺乳類です。その生息地と季節的な移動を支える広い環境をまとめて守ることが、資産の完全性に直結します。
登録基準(x)の評価では、野生生物の絶滅リスクを科学的に整理するIUCNレッドリストが主要資料の一つとなります。ただし、レッドリストへの掲載自体が法的保護を意味するわけではありません。移動する種を含む自然遺産では、生物地理区を代表する多様な生息環境に加え、移動経路も保護することが完全性の重要な考え方です。
2017年、優れた自然美を示す基準(vii)と、生物多様性の生息域内保全を示す基準(x)により自然遺産へ登録されました。
