概要
マダガスカル島東部に広がる6つの国立公園からなる森林地帯です。約8,000万〜6,000万年前に島が大陸から切り離された後、隔絶された環境で生物が独自に進化し、1万種以上の固有植物やキツネザルを含む多くの霊長類を育みました。2007年に登録基準(ix)(x)で世界自然遺産となり、密猟と違法伐採の影響から2010年に危機遺産リストへ記載されました。
見どころ
一万種を超える固有植物の森
巨木、木生シダ、ラン、苔、つる植物が幾層にも重なります。島の長い孤立が生んだ植物相を、ひとつの生態系として観察できるのが見どころです。
キツネザルと危機にある生息地
東部雨林に適応したキツネザル類は、独自進化を伝える象徴です。森林の縁では違法伐採による分断が進み、密猟とあわせて2010年の危機遺産記載につながりました。
地理
遺産はマダガスカル共和国東部の湿潤な山地に点在する、6つの国立公園で構成されます。起伏のある斜面を多層の熱帯雨林が覆い、標高や気候の違いに応じて多様な生息環境が連続します。
マダガスカル島は約8,000万〜6,000万年前の地殻変動で大陸から切り離されました。長い孤立の中で外部との遺伝的交流が限られたため、動植物が独自の進化を遂げました。1万種を超える固有植物と、多様なキツネザル類をはじめとする霊長類は、その進化史を現在の生態系の中に伝えています。
歴史
2007年、動植物群集の進化・発展における現在進行中の生態学的・生物学的過程を示す基準(ix)と、絶滅危惧種を含む生物多様性保全上重要で代表的な自然生息域を示す基準(x)によって登録されました。基準(vii)〜(x)のいずれかを満たす遺産は自然遺産に分類されます。基準(x)の評価では、IUCNレッドリスト、植物多様性センター、固有鳥類エリア、WWFのグローバル200なども参照されます。また基準(ix)の完全性には、生態系と生物多様性を長期に保つ過程を代表できる十分な規模と、幅広い生態系変化を含むことが求められます。
違法伐採とレムール類の密猟によって森林と動物が深刻な危険にさらされ、2010年に危機遺産となりました。危機遺産とは「危機にさらされている世界遺産リスト」に記載された遺産で、自然災害、紛争、開発、密猟、違法伐採など重大で明確な危険が対象です。記載後は保有国に保全計画の作成・実行が求められ、世界遺産基金や各国政府、民間機関などから財政的・技術的援助を受けられます。
