概要
スペイン北西部の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう、フランス側の四本の巡礼路。トゥールの道、リモージュの道、ル・ピュイの道、トゥールーズの道に沿う主要建造物と、ル・ピュイの道の七区間が登録される。
見どころ
コンクのサント・フォワ修道院付属教会
ル・ピュイの道を代表するロマネスク聖堂。西正面の「最後の審判」ティンパヌムと双塔が巡礼者を迎え、山間の小都市全体が中世の宿場の空間を伝える。
トゥールーズのサン・セルナン教会
トゥールーズの道の大拠点となった巡礼教会。長い身廊、半円アーチ、側廊と周歩廊は多数の巡礼者を受け入れるための構成で、ロマネスク建築が道を通じて広がったことを体感できる。
地理
巡礼路はフランス各地から南西へ延び、トゥールの道、リモージュの道、ル・ピュイの道、トゥールーズの道の四本がピレネー山脈を越えて、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう。一本の連続した道路全体ではなく、沿道の主要な聖堂・修道院などと、ル・ピュイの道の七区間を組み合わせた遺産である。
ペリグーのサン・フロン大聖堂、トゥールーズのサン・セルナン教会、コンクのサント・フォワ修道院付属教会などが道の結節点を示す。単独でも世界遺産となっているモン・サン・ミシェルや、ヴェズレーのサント・マドレーヌ教会も、この巡礼路の構成資産に含まれる。
歴史
スペイン北西部では9世紀初頭に、キリスト教の十二使徒の一人聖ヤコブの遺骸が発見されたと伝えられ、サンティアゴ・デ・コンポステーラはヴァティカン、エルサレムと並ぶキリスト教三大巡礼地の一つとなった。11世紀頃に聖ヤコブ信仰がヨーロッパ全体へ広がると、フランス各地の修道院・聖堂を結ぶ四本の道が巡礼者をピレネーへ導いた。
巡礼は12世紀に最盛期を迎え、民衆だけでなく王侯貴族も歩いた。人々と職人、思想が移動する文化交流の道となり、沿道に修道院、聖堂、施療施設、橋などが整えられ、ロマネスク様式の普及にも寄与した。フランス側の遺産はスペイン側の巡礼路とは別に、1998年、登録基準(ii)(iv)(vi)で世界文化遺産に登録された。
