概要
オーストラリア西岸に広がる陸海一体の自然遺産。約4,800km²の海草藻場は多数のジュゴンを養い、ハメリン・プールでは太古の生命活動を伝えるストロマトライトが今も成長する。シェル・ビーチ、断崖、多様な海洋・陸上生物も大きな価値をなす。
見どころ
現生するストロマトライト
ハメリン・プールでは、藍藻類などの微生物が泥粒を固定し、長い時間をかけてつくるドーム状のストロマトライトを観察できる。太古の生命活動を現在進行形で伝える希少な場所である。
貝殻がつくるシェル・ビーチ
細かな砂ではなく、無数の小さな貝殻が厚く積もってできた純白の海岸。青緑の海と白い浜の鮮烈な対比が、シャーク湾の高塩分環境と独特の自然美を実感させる。
地理
オーストラリア大陸最西端部に広がる湾で、島々と周辺陸地、約2万2,000km²の海域が登録範囲に含まれる。高さ約200mの断崖、青緑の浅海、無数の貝殻が堆積した白いシェル・ビーチが、ひときわ優れた自然美をつくる。
湾内には約4,800km²に及ぶ世界最大規模で種類も豊かな海草藻場が広がり、世界有数のジュゴン生息地となっている。ミサゴやアジサシなど約230種の鳥類、マンタを含む魚類約323種、ジンベイザメや絶滅が危惧されるザトウクジラ、周辺陸地の低木・アカシアなど、多様な生物と環境が陸海一体で保たれている。
歴史
シャーク湾のストロマトライトは、藍藻類などの微生物がつくるドーム状の構造である。藍藻類は日中に光合成を行い、夜には粘液で泥粒などを固定する営みを重ねる。約30億年前に始まったとされる光合成によって太古の地球へ酸素を供給した生命活動を、現在も形成が続く姿で観察できる。
広大な海草藻場では沿岸・海洋生態系の生態学的過程が続き、ジュゴンをはじめとする希少な動物の重要な生息域を支える。自然美、地球と生命の歴史、進行中の生態学的過程、生物多様性保全という4つの価値がそろい、1991年に登録基準(vii)(viii)(ix)(x)で世界遺産に登録された。
