概要
スロベニア南西部クラス地方でレーカ川が形成した大洞窟群。長さ約6km・幅約200mの巨大地下渓谷、滝、大広間の石筍、石灰段丘が連なり、地形用語「カルスト」の語源となった地域の地質学的価値を示す。
見どころ
レーカ川が刻んだ世界最大規模の地下渓谷
アドリア海へ向かうレーカ川が、長さ約6km、幅約200mに及ぶ巨大な地下渓谷を形成した。切り立つ石灰岩壁、多数の滝、深い川筋が、地表下とは思えない壮大な景観をつくる。
巨大石筍の大広間とルドルフ大聖堂
大広間では、天井から滴る石灰分を含んだ水によって床から成長した巨大な石筍が連なる。「ルドルフ大聖堂」と呼ばれる石灰段丘とともに、カルスト生成物の多様さを示す。
地理
スロベニア南西部のクラス地方にある石灰岩洞窟群で、地下のレーカ川が長い時間をかけて岩盤を溶かし、削って形成した。洞窟系は約6kmの地下通路、総深度200m超に及び、長さ約6km、幅約200mという世界最大規模の地下渓谷、多数の滝、巨大な地下空洞、陥没ドリーネを含む。レーカ川は地下を流れ、やがてアドリア海へつながる。
クラス地方の名は、石灰岩が雨水や地下水に溶食されて生じる地形を指す「カルスト」の語源となった。この洞窟群はカルスト現象を研究するうえで世界的に重要な場所である。洞窟内には「ルドルフ大聖堂」の別名をもつ石灰段丘や、巨大な石筍が連なる「大広間」がある。石筍は、鍾乳石から落ちる石灰分を含んだ水から炭酸カルシウムが沈着し、床からタケノコ状に成長した生成物である。
歴史
レーカ川が石灰岩を溶食・浸食して生んだシュコツィアン洞窟群は、カルスト地形の形成過程を大規模かつ立体的に示す。川が地表から地下へ入り、深い峡谷、巨大空洞、滝、段丘、鍾乳石や石筍をつくる一連の現象がまとまって観察できるため、地質学と洞窟学の発展に重要な役割を果たしてきた。
「カルスト」という国際的な地形用語そのものがクラス地方に由来することも、この地域が長く研究の基準地であったことを示す。地下渓谷の圧倒的な自然美と、地球史を示す石灰岩地形の価値が認められ、1986年に登録基準(vii)(viii)で世界遺産へ登録された。
