概要
ストックホルム南部の松林に築かれた共同墓地。グンナル・アスプルンドとシーグルド・レーヴェレンツが、北欧の森林文化と不規則な地形を生かし、森の火葬場や礼拝堂を自然と一体に設計した。20世紀の景観設計へ大きな影響を与えた。
見どころ
松林に溶け込む森の礼拝堂
松林の中にたたずむ小規模な礼拝堂。簡素な白壁、古典的な入口、急勾配の暗い屋根が森の垂直線と調和し、親密で静かな葬送空間をつくる。
森の火葬場へ続く景観軸
芝生の道の先に、簡素な大十字架と水平に伸びる森の火葬場の列柱廊が向き合う。地形・植生・建築を一つの葬送景観にまとめた設計理念が明瞭に見える。
地理
スウェーデンの首都ストックホルム南部に位置する共同墓地である。かつて砂利採取場だった土地に広がる松林と地形の起伏を生かし、芝生の丘、道、墓域、礼拝堂、火葬場を一続きの風景として構成した。
建築物を自然から切り離さず、背の高い松、開けた空、緩やかな地勢、不規則な林床を葬送の体験へ取り込んでいる。自然と建築が相互に引き立つ構成は、共同墓地を単なる施設ではなく、人間の生と死を見つめる景観へ高めた。
歴史
1914年、ストックホルム市は土地の地勢を生かす墓地の国際建築コンペを開催した。「亡くなった人が森へ還る」という北欧の森林文化に根ざした、グンナル・アスプルンドとシーグルド・レーヴェレンツの案が選ばれ、1917年に建設が始まった。
1940年には森の火葬場と3つの礼拝堂が完成し、松林を基調に自然と建築を調和させる共同墓地が成立した。不規則な自然を積極的に取り入れる設計理念は20世紀の墓地・景観設計へ国際的な影響を与え、1994年に世界遺産へ登録された。
