概要
イタリアのアルプス山脈北部に広がる、9つの山群からなる自然遺産。標高3,000mを超える峰が18座あり、脆いドロマイトがつくる尖塔、垂直の断崖、深い谷、湖、氷河・カルスト地形が連なる。三畳紀のサンゴ礁由来の地層と海洋生物化石も保存されている。
見どころ
三畳紀の海を閉じ込めた地層
サンゴ礁由来の炭酸塩地層と海洋生物化石は、約2億5,200万〜2億100万年前にここが海だった証拠。足元の化石と背後の尖峰が、一続きの地球史だと分かる。
氷河とカルストが刻む白い尖峰
氷河圏谷、青緑の湖、割れ目や窪地のあるカルスト台地の先に、脆いドロマイトの尖峰が連なる。侵食がつくる劇的な起伏と自然美を一つの眺めで観察できる。
地理
アルプス山脈北部に、ペルモ・ヌヴォラウ、マルモラーダ、パーレ・ディ・サンマルティーノなど9つの構成資産が広がる。総面積は約1,400km²で、標高3,000mを超える峰は18座に及ぶ。
炭酸マグネシウムを多く含む脆い石灰岩のドロマイト(苦灰石)が、尖塔のような峰、垂直の断崖、狭く深い谷をつくる。山間の神秘的な色の湖に加え、氷河地形と、水が石灰岩を溶かしてできるカルスト地形も見られる。
歴史
約2億5,200万〜2億100万年前の三畳紀、この地域にはサンゴがつくる炭酸塩の地層が堆積した。地層には海洋生物の化石が残り、かつて海だった場所が隆起と侵食を受けて現在の山岳景観へ変化した地球史を読み取れる。
1790年、フランスの鉱物学者ドロミウが当地で特徴的な岩石を発見した。その岩石は彼の名にちなみ「ドロミア」、のちにドロマイトと呼ばれた。19世紀半ばには山々が「アルピ・ドロミティケ」と呼ばれ、やがてイタリア語の「ドロミティ」、英語の「ドロミテ」という現在の名称へつながった。
2009年、登録基準(vii)(viii)で世界遺産に登録された。(vii)はひときわ優れた自然美や美的重要性をもつ類まれな自然現象・地域、(viii)は生命進化の記録、地形形成の地質学的過程、地形学的・自然地理学的特徴を含む地球史の主要段階を評価する。(viii)が対象とする地球の歴史、生命の記録、進行中の地質過程、重要な地形・自然地理的特徴という4つの観点が、ドロミテの地層・化石・尖峰群に重なっている。
