概要
グアテマラ北部の熱帯林に広がる、マヤ文明最大級の神殿都市遺跡と周辺生態系を一体で守る複合遺産。紀元前6世紀から10世紀まで人々が暮らし、先コロンブス期の政治・経済・軍事の中心として栄えた。ピラミッド神殿、アクロポリス、宮殿、広場、石碑が高度な石造文化を伝え、森林の生態学的価値とともに1979年、登録基準(i)(iii)(iv)(ix)(x)で登録された。
見どころ
1号神殿(ア・カカウ神殿)
急な階段の上にルーフ・コームを戴くティカルの象徴。内部から682年即位のア・カカウ王の墓と埋葬品が見つかった。
グラン・プラサとアクロポリス
神殿、宮殿、石碑、祭壇が公共広場を囲む儀礼中心部。増改築を重ねた高度な都市計画と石造技術を一望できる。
地理
ティカル国立公園はグアテマラ北部の広大な森林地帯に位置する。密生する熱帯林の中に、アクロポリスや急峻なピラミッド神殿群が点在し、石造建築の頂部が樹冠の上へ突き出す。遺跡だけでなく、その周囲で続く森林の生態学的過程と多様な生物の生息環境も一体で評価された複合遺産である。
都市の儀礼中心部には神殿、宮殿、ピラミッドと、傾斜路から入る公共広場が計画的に配置された。増改築を重ねた中心部では高度な石造技術が確認でき、建造物の周囲にはマヤ文字やレリーフを刻んだ石碑と祭壇が立つ。中央アクロポリスでは4つの神殿が確認されている。
歴史
ティカルには紀元前6世紀から10世紀まで人々が居住し、マヤ文明を代表する政治・経済・軍事の中心都市となった。王権と宗教儀礼を示すアクロポリス、宮殿、公共広場、ピラミッド神殿は、時代ごとに増改築されて都市の中心を形づくった。文字やレリーフを刻んだ石碑・祭壇は、王朝の歴史と儀礼を伝える記録でもある。
682年に王へ即位したハサウ・チャン・カウィール1世は、別名をア・カカウ王という。1号神殿はア・カカウ神殿とも呼ばれ、マヤ建築特有の装飾壁ルーフ・コームを頂く。その内部からはア・カカウ王の墓と埋葬品が発見された。
長期にわたる居住を終えた後、都市遺跡は周囲の森林に包まれた。人類の創造性、マヤ文明の証言、代表的建築に加え、森林生態系と生物多様性が評価され、1979年に文化・自然双方の価値をもつ複合遺産として登録された。
