ガラスと鋼が生活空間を解き放ったモダニズム住宅

ブルノのトゥーゲントハート邸

Tugendhat Villa in Brno

庭へ開くガラスの壁と流れるような室内が、住宅を部屋の集合から自由な空間へ変えた。

ブルノのトゥーゲントハート邸のミニチュア

概要

チェコ南東部ブルノの高台に建つ、ミース・ファン・デル・ローエ設計の住宅。1930年に完成し、鉄鋼、ガラス、石材を用いた斬新な空間設計と機能美によって、1920年代ヨーロッパのモダニズムとインターナショナル・スタイルを代表する作品となった。

  • チェコ
  • 文化遺産
  • 2001年登録
  • 検定2級

見どころ

ブルノの庭側斜面から見たトゥーゲントハート邸の全面ガラス壁

庭へ開く全面ガラスのファサード

傾斜地の下階に設けたリビングは、床から天井まで続くガラス壁で庭とつながる。水平な白い建築、細い鋼製柱、透明な壁が、機能性と開放感を一つにした。

鋼製柱とオニキスの間仕切りがあるトゥーゲントハート邸の居間

流れるようなリビングと食堂

独立した鋼製柱が建物を支え、大理石・オニキスや曲面の木壁が広い室内を緩やかに区切る。壁で閉じずに生活の場をつなぐ斬新な空間設計を体感できる。

地理

トゥーゲントハート邸はチェコ南東部、南モラヴィア地方の都市ブルノにある。傾斜地を生かした2階建てで、道路側の上階に玄関と個室、庭側の下階にリビングと食堂を置くため、街路からは低く、庭からは大きく開く姿に見える。

庭に面する壁面は広い総ガラス張りで、室内外の視線と空間を連続させる。細い鋼製柱が建物を支えることで壁を構造から解放し、室内は大理石・オニキスや木の間仕切りによって緩やかに分節されている。

ブルノのトゥーゲントハート邸の風景

歴史

1920年代のヨーロッパでは、近代工業生産の素材と技術を生かし、新しい生活様式に応えるモダニズム建築が発展した。ドイツ人建築家ミース・ファン・デル・ローエは、その流れを代表するインターナショナル・スタイルの住宅としてトゥーゲントハート邸を設計し、1930年に完成させた。

固定した壁で小部屋を区切るのではなく、鋼製柱、全面ガラス、大理石・オニキスの壁面を用いて連続する生活空間をつくった点が革新的だった。近代工業が可能にした素材と精密な施工を、機能美と新しい暮らしのための斬新な空間設計へ結びつけ、後の住宅建築へ大きな影響を与えた。

近代建築の発展における重要な価値観の交流を示すとして登録基準(ii)、人類史の代表的段階であるモダニズム住宅の顕著な見本として(iv)が認められ、2001年に世界遺産に登録された。

参考

  • UNESCOTugendhat Villa in Brno
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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