概要
キューバ西端部に近いピナール・デル・リオ州の渓谷で、モゴーテと呼ばれる切り立った石灰岩丘や洞窟の間に、伝統的な葉タバコ畑、乾燥小屋、先住民文化に起源をもつ木造家屋が残る文化遺産。自然地形と手仕事中心の農業が調和した景観が評価された。
見どころ
モゴーテに開く洞窟
最大約300mにもなる石灰岩丘の内部には洞窟が発達し、鍾乳石や石筍、風化した岩絵が残る。先住民の住居や逃亡奴隷の隠れ家となった、人間とカルスト地形の長い関わりを伝える。
葉タバコ畑と伝統乾燥小屋
赤土の畑で育てた葉を手で収穫し、椰子材と茅の乾燥小屋へ吊るす。葉タバコの生産工程と素朴な建築が一つの景観をつくり、土地に根ざした伝統農業を目に見える形で残す。
地理
ビニャーレス渓谷はキューバ西部のカルスト地形にあり、平坦な赤土の農地からモゴーテと呼ばれる石灰岩の岩山が孤立して立ち上がる。モゴーテは大きなものでは高さ約300mに達し、長い侵食によって丸い山頂と垂直に近い断崖をもつ。内部には洞窟が発達し、鍾乳石や石筍、岩絵を見ることができる。
渓谷の肥沃な土地には葉タバコ畑や小規模な農地が広がり、椰子材と茅を用いた乾燥小屋、先住民文化に起源をもつ素朴な木造家屋が点在する。機械化された単一農園ではなく、人の手による栽培・収穫・乾燥と集落生活が地形に寄り添い、自然と文化が一体となった農村景観を形づくっている。
歴史
渓谷の洞窟は古くから先住民の住居として用いられ、岩壁にはその文化を示す岩絵が残る。植民地時代には逃亡した奴隷の隠れ家にもなり、石灰岩地形は異なる時代の人びとを守る空間となった。
ビニャーレス一帯は古くから良質な葉タバコの産地として知られ、世代を超えて伝えられた栽培法、畑の区画、乾燥小屋、木造家屋が景観をつくってきた。先住民文化、アフリカ系住民の歴史、キューバ農村の伝統が重なる土地利用の姿が評価され、1999年に登録基準(iv)で世界文化遺産に登録された。
