赤道直下の火山・湖・雪山にゴリラを守る最古の国立公園

ヴィルンガ国立公園

Virunga National Park

溶岩の大地から雪峰まで、赤道をまたぐ高低差のなかでゴリラの森と命の水辺が息づく。

ヴィルンガ国立公園のミニチュア

概要

コンゴ民主共和国北東部にある同国最古の国立公園。赤道直下にありながら、湿地、サバナ、熱帯雨林、火山、標高5,000m超の雪原まで多様な環境を擁し、マウンテンゴリラなど22種の霊長類を育む。内戦後の密猟や森林伐採、油田開発の懸念から1994年以降は危機遺産である。

  • コンゴ民主共和国
  • 自然遺産
  • 1979年登録
  • 検定3級
  • 検定2級

見どころ

ヴィルンガ火山群の森林で暮らすマウンテンゴリラの群れ

火山の森に生きるマウンテンゴリラ

1925年の公園設立の原点となった希少なゴリラ。火山斜面の濃密な森は、マウンテンゴリラとヒガシローランドゴリラを含む22種の霊長類を守る重要な生息域である。

エドワード湖からヴィルンガの火山と遠い雪山を望む多様な自然景観

溶岩原から湖、雪原まで続く赤道の景観

エドワード湖、火山斜面、熱帯雨林、湿地、サバナ、ルウェンゾリの雪原が大きな標高差の中に連なる。赤道直下とは思えない環境の幅が、この公園の生物多様性を支える。

地理

コンゴ民主共和国北東部、ウガンダとルワンダの国境に沿って広がる総面積約79万haの自然遺産である。赤道直下の熱帯雨林だけでなく、湿地、ステップ、サバナ、エドワード湖、ヴィルンガ火山群の溶岩原と火山斜面、標高5,000mを超えるルウェンゾリ山地の雪原までを含み、著しい標高差が卓越した景観と多様な生息環境を生み出す。

マウンテンゴリラとヒガシローランドゴリラをはじめ、22種の霊長類にとって重要な生息域である。エドワード湖と流入河川はかつて約2万頭のカバを支え、シベリアから渡る鳥類の越冬地にもなってきた。公園には親を失ったゴリラの保護施設があり、世界的なゴリラ保護の中心的役割を担う。

ヴィルンガ国立公園の風景

歴史

1925年、マウンテンゴリラの保護を主目的として設立された、コンゴ民主共和国で最も古い国立公園である。1979年には、火山・湖・雪山を含む壮大な景観、地質学的価値、希少な生物相が評価され、登録基準(vii)(viii)(x)で世界自然遺産となった。

1990年に始まったルワンダ内戦ではツチ族とフツ族の対立によって100万人近くが虐殺され、大量の難民が公園周辺へ流入した。燃料を得るための樹木伐採や密猟が急増し、多くのゴリラとカバが殺されて生態系が深刻な被害を受けたため、1994年に危機遺産リストへ記載された。

旧名ザイールであるコンゴ民主共和国では政情不安が長く続き、世界遺産4件が危機遺産となる状況が生じた。ヴィルンガでも武力紛争、密猟、違法な森林利用が保全を難しくし、近年は油田発見を受けた開発による環境破壊も懸念されている。危機遺産に記載された保有国には保全計画の作成・実行が求められ、国際的な財政・技術支援を受けながら価値の回復を図る。

参考

  • UNESCOVirunga National Park
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)
  • 書籍『きほんを学ぶ世界遺産100〈第4版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

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