概要
コンゴ民主共和国北東部にある同国最古の国立公園。赤道直下にありながら、湿地、サバナ、熱帯雨林、火山、標高5,000m超の雪原まで多様な環境を擁し、マウンテンゴリラなど22種の霊長類を育む。内戦後の密猟や森林伐採、油田開発の懸念から1994年以降は危機遺産である。
見どころ
火山の森に生きるマウンテンゴリラ
1925年の公園設立の原点となった希少なゴリラ。火山斜面の濃密な森は、マウンテンゴリラとヒガシローランドゴリラを含む22種の霊長類を守る重要な生息域である。
溶岩原から湖、雪原まで続く赤道の景観
エドワード湖、火山斜面、熱帯雨林、湿地、サバナ、ルウェンゾリの雪原が大きな標高差の中に連なる。赤道直下とは思えない環境の幅が、この公園の生物多様性を支える。
地理
コンゴ民主共和国北東部、ウガンダとルワンダの国境に沿って広がる総面積約79万haの自然遺産である。赤道直下の熱帯雨林だけでなく、湿地、ステップ、サバナ、エドワード湖、ヴィルンガ火山群の溶岩原と火山斜面、標高5,000mを超えるルウェンゾリ山地の雪原までを含み、著しい標高差が卓越した景観と多様な生息環境を生み出す。
マウンテンゴリラとヒガシローランドゴリラをはじめ、22種の霊長類にとって重要な生息域である。エドワード湖と流入河川はかつて約2万頭のカバを支え、シベリアから渡る鳥類の越冬地にもなってきた。公園には親を失ったゴリラの保護施設があり、世界的なゴリラ保護の中心的役割を担う。
歴史
1925年、マウンテンゴリラの保護を主目的として設立された、コンゴ民主共和国で最も古い国立公園である。1979年には、火山・湖・雪山を含む壮大な景観、地質学的価値、希少な生物相が評価され、登録基準(vii)(viii)(x)で世界自然遺産となった。
1990年に始まったルワンダ内戦ではツチ族とフツ族の対立によって100万人近くが虐殺され、大量の難民が公園周辺へ流入した。燃料を得るための樹木伐採や密猟が急増し、多くのゴリラとカバが殺されて生態系が深刻な被害を受けたため、1994年に危機遺産リストへ記載された。
旧名ザイールであるコンゴ民主共和国では政情不安が長く続き、世界遺産4件が危機遺産となる状況が生じた。ヴィルンガでも武力紛争、密猟、違法な森林利用が保全を難しくし、近年は油田発見を受けた開発による環境破壊も懸念されている。危機遺産に記載された保有国には保全計画の作成・実行が求められ、国際的な財政・技術支援を受けながら価値の回復を図る。
