潮の干満が三国の北海沿岸につくる巨大な干潟生態系

ワッデン海

Wadden Sea

引いた潮の先に水路が光り、空を埋める渡り鳥が大地の鼓動を告げる。

ワッデン海のミニチュア

概要

オランダ、ドイツ、デンマークの北海沿岸にまたがる広大な湿地帯です。潮の干満が砂州、干潟、塩田、三角江、潮の水路、海洋性植物の平原、貝類の生育地、砂丘を絶えず形づくり、年間1,200万羽以上の渡り鳥を含む多様な生命を支えています。

  • デンマーク・ドイツ・オランダ
  • 自然遺産
  • 2009年登録
  • 検定2級

見どころ

ワッデン海の干潮時に現れた広大な干潟と蛇行する潮の水路

潮が描く干潟と水路

干潮時には広大な泥砂の平原と蛇行する潮の水路が現れます。地形が今もつくられ続ける過程を目で追える景観です。

ワッデン海の干潟で休息し採餌する多数の渡り鳥

年間1,200万羽を超える渡り鳥

干潟の貝類などを求めて渡り鳥が大群で飛来します。ヨーロッパ北西部の渡り鳥の約10%を支える中継地です。

地理

北海沿岸に広がるワッデン海では、満潮と干潮の反復によって堆積物が運ばれ、砂州、干潟、塩田、三角江、潮の水路、海洋性植物の平原、貝類の生育地、砂丘がモザイク状に連なります。海域には海洋性哺乳類をはじめ多くの動植物が生息し、干潟にはヨーロッパ北西部の渡り鳥の約10%に当たる年間1,200万羽以上が飛来します。

三国にまたがるワッデン海は、国境で分断できない自然を多国間協力で守るトランスバウンダリー・サイトの代表例です。この概念は国境を越える自然遺産の保護から発展しましたが、かつて一つだった歴史・文化圏が国境で分かれた文化遺産にも適用されます。関係締約国の共同推薦と共同管理機関の設置が強く推奨され、遺産名やバッファー・ゾーンの変更にも全関係国の同意が必要です。

ワッデン海の風景

歴史

1987年、ワッデン海は湿地とその生態系を守るラムサール条約の登録地となりました。同条約は1971年にイランのラムサールで採択された湿地保全の国際条約です。

2009年に世界遺産へ登録され、2011年に登録範囲が変更、2014年に範囲が拡大されました。登録基準(viii)は地球史の主要段階や地形形成過程、基準(ix)は沿岸・海洋生態系で進行中の生態学的・生物学的過程、基準(x)は生物多様性保全上重要な自然生息域を評価します。登録基準(vii)〜(x)により評価されるため自然遺産です。

参考

  • UNESCOWadden Sea
  • 書籍『くわしく学ぶ世界遺産300〈第5版〉』(発行:世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局、発売:マイナビ出版)

公開日: 最終更新: