概要
エジプト北西部の砂漠にある、約4,000万年前のクジラの祖先バシロサウルスをはじめとする化石産地。現在は乾燥地だが、かつての浅い海の地層に海生哺乳類や植物の化石が残り、陸生哺乳類が水中生活へ適応していった進化の過程を伝える。
見どころ
バシロサウルスの骨格化石
砂漠の地層から姿を現す巨大な骨格は、約4,000万年前に浅い海を泳いだクジラの祖先のもの。陸生哺乳類から完全な水中生活へ移る進化を読み解く中心資料である。
砂漠に残る古代の浅い海
乾いた谷の堆積層には海生哺乳類とマングローブなどの植物化石が共存する。現在の砂漠とかつての海という大きな環境変化を、地層そのものが物語る。
地理
エジプト北西部の砂漠地帯に位置する。見渡す限りの乾いた谷と砂岩層は、約4,000万年前には浅い海の海底だった場所であり、当時の生物が堆積物の中に保存された。
クジラ類の骨格だけでなく、マングローブなどの植物化石も見つかる。海生動物と沿岸植物の痕跡を同じ景観の中で読めることが、この谷がかつて海だったことを具体的に示している。
歴史
新生代古第三紀、現在の砂漠には浅い海が広がっていた。約4,000万年前、この海ではクジラの祖先バシロサウルスなどが暮らし、その遺骸が海底に堆積した。発見された化石には、陸上で暮らした哺乳類が水中生活に適した体へ変化していく段階が記録されており、脊椎動物の進化を理解する重要な資料となっている。
登録基準(viii)は、生命進化の記録、地形形成の地質学的過程、地形学的・自然地理学的特徴を含む地球史の主要段階を対象とし、地球の歴史、生命の記録、進行中の重要な地質学的過程、重要な地形・自然地理学的特徴という4つの観点をもつ。ワディ・アル・ヒタンではとくに生命の記録が評価され、2005年に世界遺産に登録された。
