概要
オーストラリア大陸南部の砂漠に広がる、約2万年前に干上がった湖群の跡地。更新世の湖底・砂層、4万5,000~6万年前にさかのぼる人類活動の痕跡、巨大有袋類の化石が共存し、自然史と文化史の両面から登録された複合遺産である。
見どころ
干上がった湖と更新世の地層
旧湖岸に重なる淡色と赤褐色の砂・粘土層は、湖が存在した更新世から乾燥化へ向かう環境の変化を記録する。風食地形と広い湖底が、この複合遺産の自然的価値を目に見える形で示す。
人類の営みを伝える岩面画
周囲に残るアボリジニの岩面画は、人骨や火葬の痕跡とともに、この乾燥地で続いた人類の暮らしを伝える。地質学的な時間と文化的な記憶が同じ土地に重なる見どころである。
地理
オーストラリア大陸南部の乾燥地帯に、更新世に形成された一連の湖の化石地形と砂の堆積層が広がる。湖は約2万年前に干上がり、旧湖底と風によって削られた砂・粘土の地層が、更新世から現在までの環境変化を読み解く記録となった。
地層からは保存状態のよい巨大有袋類の化石も見つかり、地球の歩みを示す一方、周辺にはアボリジニの岩面画と、人類が長くこの地で暮らした考古学的証拠が残る。自然の地質記録と人類史の資料が同じ景観の中に重なることが、登録基準(iii)と(viii)をもつ複合遺産の特徴である。
歴史
ウィランドラ湖地域からは、4万5,000~6万年前にさかのぼる人類居住の考古学的証拠が見つかっている。ホモ・サピエンス・サピエンス(新人)の骨は、オーストラリア大陸における人類の歩みを考える重要な資料である。
約2万6,000年前の女性骨には火葬の痕跡があり、当時すでに死者を火葬する風習があったことを伝える。周囲の岩面画とあわせ、地層は人々の生活と精神文化の長い継続を物語る。約2万年前に湖が干上がった後も、砂層と湖底は更新世の地質と人類活動の痕跡を保存してきた。1981年、文化的価値の登録基準(iii)と自然的価値の登録基準(viii)により世界遺産へ登録された。
