概要
ドイツ西部の中核都市エッセンに残る、19〜20世紀の炭鉱施設をほぼ完全な構成で伝える産業遺産。ドイツ最大級の産出量を誇った炭鉱の発展と衰退を示し、1932年稼働の第12炭坑にはバウハウスの影響を受けたモダニズムの機能美が結晶している。
見どころ
第12炭坑の巻き上げ塔
1932年に稼働した施設の象徴。赤い鉄骨の二連巻き上げ塔と幾何学的な工場棟が一体となり、巨大な生産設備を機能美のあるモダニズム建築へ高めている。
バウハウスの影響を伝えるボイラー棟
鉄骨と煉瓦、整然と並ぶ窓がつくる端正な外観に注目。生産工程に必要な建物でありながら、20世紀モダニズムを代表する建築的価値を備えている。
地理
ドイツ西部ノルトライン=ヴェストファーレン州、ルール工業地帯の中核都市エッセンに位置する。かつて石炭・鉄鋼業が集中した地域にあり、採炭、選炭、輸送、動力供給を担った設備と建物が一体となって残る。
名称のツォルフェラインはドイツ関税同盟を意味する。この名のもとに周辺の炭鉱群が統合され、ドイツ最大級の石炭産出量を誇るまでになった。鉱山関連建造物と近代的な産業景観は、石見銀山との比較研究でも産業遺産の比較対象に挙げられている。
歴史
19世紀から20世紀にかけて発展した炭鉱で、約150年に及ぶ基幹産業の発展と衰退を物質的に伝えている。1932年に稼働した第12炭坑は、生産工程に沿う合理的な配置と統一された外観をもち、とりわけボイラー棟はバウハウスの影響を受けたモダニズム建築として知られる。
2001年に登録基準(ii)(iii)で世界遺産となった。(ii)は建築・技術の発展における重要な価値観の交流を示す点、(iii)は現存または失われた文化的伝統・文明を伝える独特な証拠を評価する基準である。ここでは近代鉱業の技術と設計思想の交流、そして石炭産業が形づくった時代を伝える完全な施設群がその価値を具体化している。
