火を連れて夜をゆく怪鳥
ふらり火
ふらりび / ぶらり火 / 早百合火(富山県の地方伝承での呼称)
夜の底を、火がひとつ、鳥を連れてゆく。追いすがっても届かない。千鳥足の提灯のように、ただふらり、ふらりと。
Overview
炎に包まれた鳥の姿をした火の妖怪。夜空をふらりふらりとさまよい飛ぶ。供養されなかった死者の霊が成り果てた火の化身とする説がある。
Encounter
夜、野末や川辺の暗がりに、一つの火が鳥を連れてふらりふらりと飛ぶのを見る。遠くから眺めた者には、千鳥足の酔っぱらいが提灯を提げて歩くように映るという。近づいて確かめようとしても、火も鳥もとらえどころなく、ただあてもなく宙をさまよっていくばかりである。
Lore
鳥山石燕『画図百鬼夜行』(安永5年=1776年刊)に収録された火の妖怪で、炎に包まれた迦楼羅めいた顔の鳥として描かれる。同書は名と絵のみで解説文を欠くため正体は不明だが、火の化身とする説がある。先行する佐脇嵩之『百怪図巻』では犬のような顔の鳥として描かれた。
Traits
火が主で鳥が従者だといい、二つはひとつになって夜空をさまよう。人に襲いかかることも害を加えることもなく、ただふらふらと漂うのみ。近くで見れば鳥は世の鳥にあらず、火もまた空を浮遊する人魂ではないかと囁かれる。供養されず現世をさまよう霊が、火と鳥の姿を借りて飛ぶのだともいう。