囲炉裏端にひそむ犬神の一族
スイカツラ
スイカツラ / スイカズラ / スイカヅラ
囲炉裏の火が細るころ、灰のそばに鼠より少し大きな影がうずくまる。悪気はない、ただ暖まりに来ただけ。──だが主が誰かを恨んだその夜、影は音もなく戸口を抜け、恨まれた者の枕もとへと這っていく。
Overview
スイカツラは、徳島県三好郡の祖谷山に伝わる犬神の類の憑き物。鼠より少し大きな獣で、ときおり囲炉裏のそばで暖をとっているという。犬神筋の者が誰かを恨むと、その相手に憑いて病気にさせるとされる。スイカズラ・スイカヅラとも表記される。
Encounter
徳島県三好郡の山深い祖谷山にあらわれる。ふだんは犬神を持つ家に潜み、寒い時季には囲炉裏のそばまで出てきて、鼠より少し大きな身を火にあたためていることがある。飼い手が誰かを恨むと、そっと家を抜け出し、恨まれた者のもとへ忍び入って取り憑くという。
Lore
スイカツラは、四国・徳島に濃く分布する犬神信仰の一系統である。『綜合日本民俗語彙』第2巻(1955年)に、三好郡祖谷山で犬神の類をスイカズラとよぶ旨が記される。阿波では鵺の尾が備前へ渡ってスイカヅラになったとする伝承(太田明「阿州犬神考」1936年)も記録されている。
Traits
犬神筋とよばれる特定の家に代々つき従い、鼠ほどの獣として囲炉裏端にひそむ。飼い手が人を恨むと相手に取り憑き、憑かれた者は胸や手足を痛め、病に伏せる。医者の薬は効かず、太夫や祈祷師といった呪術者に落としてもらうまで離れないという。