死者の霊を墓場へ導く人面の蝦蟇
センポクカンポク
センポクカンポク
蝦蟇の顔が、こちらを見ているようで見ていない。死んだ者の枕もとで三七日、ただじっと座り、四七日目にのそりと立ち上がる。ついて来い、とは言わない。ただ先を歩く。墓場までの道を、この世でいちばんよく知っている者として。
Overview
越中国東礪波郡利賀村(現・富山県南砺市)に伝わる妖怪。大きなヒキガエルの体に人間のような顔を持つ。家に死人が出るとその家に現れ、死者の霊魂の番をし、やがて墓場まで導く役目を負うとされる。この地方で大蝦蟇を敬う「カサゴット」「テンテンゴット」の神の一種ともいわれる。
Encounter
死人のあった家の、亡骸を覆う掛けむしろのそばに、いつのまにか現れているという。死後一週間ほどは大戸の外に出て番をし、三週間ほどは家に留まる。ふだんは物陰でじっと動かず、あの世からの使いのように、半分だけこの世に足を置いてうずくまっている。
Lore
昭和16年(1941年)刊行の『民間伝承』六巻八号で越中国東礪波郡利賀村の妖怪として報告された。村上健司『妖怪事典』などに収録される。同地方では蝦蟇を「カサゴット」「テンテンゴット」の神と呼び、瀕死の者がその名を唱えると救われるという信仰が結びつく。南砺市付近では子供向けの昔話にもよく登場したという。
Traits
死者が出た家に現れ、その霊魂を見守る。死後一週間で大戸の外へ出て番をし、三週間はその家に留まり、四週間経つと死者の霊を導いて墓場へと向かう。あの世とこの世を往き来する道案内であり、人を害することはない。死に瀕した者がその名を呼べば、蝦蟇の妖術によって命が救われるとも伝えられる。