夜道で足に憑く赤子の霊

ノツゴ

ノヅコ / ノヅコサン

山道でふいに、足が誰かの手に掴まれたように重くなる。振り返れば誰もいない。ただ、赤子の泣き声だけが草の中から追ってくる。鼻緒を切って投げよ。裸足で帰るほうが、まだ帰れる。

ノツゴ figure art

Danger and Rarity

C
戦闘力

驚かせ、転ばせる程度。命までは取らない。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

Overview

ノツゴは、愛媛県の南北宇和郡や高知県幡多郡に伝わる妖怪。夜の山道で足がもつれ、理由もなく歩けなくなる怪異をこう呼ぶ。「草履をくれ」と追いかけてくるといい、草鞋の乳や草履の鼻緒を切って与えると離れる。正体は成仏できない幼児の霊とも、土地を守る野神が変じたものともいわれる。

Encounter

日が落ちてからの山道、里はずれの畦道で、理由もなく足が重くなる。振り返っても誰もいないが、「ワァワァ」「オギャアオギャア」と赤子の泣き声だけが背に貼りついてくる。宇和の村々では、夜に出歩こうとする子を「ノツゴが憑くぞ」と戒め、日暮れまでの外遊びを固く止めた。

Lore

愛媛県北宇和郡・南宇和郡と高知県幡多郡に伝わる怪異で、村上健司編著『妖怪事典』(2000年)などに立項される。桜井徳太郎はノツゴを「野の子」と解し、行先を失ってさ迷う子どもの亡霊とみた。もとは田野を守る野神で、間引きや堕胎で死んだ嬰児の御霊信仰と習合して妖怪化したとする説も示されている。

Traits

影も形も見えず、ただ足首の重さとしてだけ現れる。憑かれた者は膝から下が石のようになり、一歩も進めない。「草履をくれ」とせがみながら追ってくるので、草鞋の乳か草履の鼻緒を切って投げてやれば、ようやく足は動きだす。履物を欲しがるのは、幼子の葬りに草履の乳を埋めた作法の名残だともいう。

ノツゴ cover image