手足を踏むと火を放つ沖縄の水の精
ブナガヤ火
川面はいつもと変わらぬ静けさだった。だが踏み込んだ小さな足の下には、水と見分けのつかない誰かがいる。踏んだ刹那、手の甲を這う青い火。家に帰り着くころには、そこはもう赤黒く膨れ上がっていた。母が呼び集めた村の呪文だけが、その熱をゆっくり鎮めていく。
Overview
ブナガヤは沖縄本島北部、大宜味村を中心に伝わる精霊で、キジムナーの別称ともされる。ふだんは水と同じ保護色で川底に身を隠しているが、遊ぶ子供が誤ってその手足を踏むと、青みがかった不思議な火『ブナガヤ火』をつけられ、火傷や腫れを負わされるという。
Encounter
舞台は沖縄本島北部の大宜味村を流れる川。ブナガヤ(キジムナーの別称)は水と同じ保護色で無色透明に身を隠し、ふだんは川底に潜んで人とは関わらない。子供たちが川遊びに興じる最中、気づかずその手や足を踏んでしまうと、とっさに青みがかったブナガヤ火を浴びせられるという。
Lore
沖縄本島北部の大宜味村を中心に伝わる話で、キジムナーの別称ともされるブナガヤに由来する。国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースにも大宜味村の類話が複数採録され、水木しげる『妖怪大全』でも紹介されている。地元では村おこしのモチーフとしても親しまれている。
Traits
元来は水と見分けのつかない無色透明の姿で、川底に潜んで暮らす。自分から人に危害を加えることは少ないが、体を踏まれると瞬時に青みがかった炎をまとわせ、相手の手足に付着させる。灼かれた箇所は赤黒く腫れて水ぶくれとなるが、村の年寄りが呪文を唱えると徐々に元へ戻るという。