坂に潜む、目玉を膨らます一つ目狸
一つ目狸
「どうだ、参ったか」と睨みつけても、盲いた男は眉一つ動かさない。悔しさに目玉はどんどん膨らみ、ついに顔からはみ出した。ひっくり返った拍子に頭を打ち、一つ目狸はそれきり動かなくなったという。
Overview
一つ目狸は、紀州・白浜町富田(現・和歌山県上富田町富田)の「一目坂」に伝わる一つ目の狸。人を驚かすのが好きで、夜になると坂道に隠れて通行人を待ち構え、怒れば怒るほど目玉を大きく膨らませて脅かす、いたずら者として語られる。
Encounter
夜の一目坂の暗がりに身を潜め、通りかかる人の前へ突然飛び出しては、ぎらつく一つ目で睨みつけて驚かす。肝の据わった相手には目玉をどんどん大きく膨らませて脅し、たいていの通行人は恐れをなして一目散に逃げ出したという。
Lore
一目坂という坂道の名にちなむ、土地に根ざした狸の妖怪譚として伝わる。盲目の男を驚かせそこねた末に、力むほど膨れた目玉が顔から飛び出して自滅したという顛末まで含めて語り継がれてきた。
Traits
人を驚かすのが好きな一つ目の狸で、怒りが増すほど目玉が顔いっぱいに膨らむという性質を持つ。ただし目の見えない相手には脅しがまったく通じず、意地になるほど目玉は際限なく膨らんでいく。