川面に浮かぶ、寄り添う二つの火
丸い玉の幽霊
川面に、青い光がひとつ浮かぶ。しばらくして、もうひとつ。近づいても遠ざかろうとしない。二つの火は寄り添い、名を呼ぶような声を落とす。生きて添い遂げられなかった二人が、死してなお離れずにいる。
Overview
福岡県に伝わる、川面に浮かぶ青い火の怪異。所帯を持つことを許されなかった男女の魂が、丸く青い光となって現れ、互いの名を呼び合うような声を立てるという。
Encounter
現れるのは人けの絶えた夜更けの川面や川辺の暗がりとされる。はじめ一つの火が水面近くに浮かび上がり、やがてもう一つが寄り添うように現れる。近づく者があると、声をひそめるように光を落とすという。
Lore
駆け落ちした男女が追っ手に捕らえられ、川に沈められたと伝わる。死してなお引き離された二人の魂が、丸く青い光となって寄り添い、互いを呼び合う声を上げるという語りが福岡県に残る。
Traits
火は青白く、地表近くをゆるやかに漂う人魂特有の飛び方をするとされる。二つの火は決して離れず、一方が動けばもう一方も追うように動く。人に危害を加えたという話は伝わらず、ただ寄り添う姿と呼び声だけが語り継がれている。