仇の在り処を告げた物言う巨石
囀り石
夜更け、旅の男は石の中から聞こえる声に目を覚ました――探し求めていた仇の居場所を語る声だった。刃を向ければ、石は二度と口を開かない。
Overview
群馬県中之条町の旧伊参村に伝わる、高さ約4メートルの三角形の巨石。かつて人語を話し、仇討ちの旅人にその居場所を教えたとされることから「物言う石」として祀られてきた。しかしある時、石の声に驚いた旅人が角を斬りつけて以来、声を発さなくなったという。
Encounter
旅人が行き交う街道沿いに、この巨石は今も横たわる。親の仇を探して諸国をめぐっていた男が、日暮れて石を寝床代わりに一夜を明かしたところ、真夜中、石の内側から聞こえる人の話し声で目を覚ましたという。
Lore
この石が仇の居場所を語り、男が本懐を遂げたという話や、その後も人々の役に立つ言葉を語ったという伝えは、昭和7年(1932年)刊『伝説の上州』(暁風中島吉太郎)に記録が残る。斬られて飛んだ破片が、同町蟻川の「割石」の由来になったとも伝えられている。
Traits
ふだんは物言わぬただの巨石だが、夜が更けると内側から声を発し、聞く者にとって有用な話を語る。自らは動かず、姿を変えることもないが、声を聞きつけて刃を向けられると深く沈黙し、二度と口を利かなくなるという、繊細な一面も持つ。