崖からヌッと突き出す壱岐の道塞ぎ
塗坊(ぬりぼう)
崖がふっと膨らみ、道をふさぐ。一服つけて待てば、いつの間にか道は開いている。
Overview
長崎県・壱岐島に伝わる妖怪。夜、山道を行く人の前に山の斜面や崖からヌッと身を乗り出すようにして現れ、道をふさぐ。輪郭のはっきりしない姿で正体は判然とせず、柳田国男は同じく道をふさぐ塗壁と似た性質のものとして扱った。
Encounter
壱岐の山中、日が落ちてから一人で峠道や崖沿いを歩いていると、ふいに山肌がせり出すようにして目の前に立ちはだかる。押しても引いても道は開けず、棒で打ちすえるか、路傍の石に腰掛けて一服していると、いつの間にか消えて道が通れるようになるという。
Lore
塗坊は柳田国男が壱岐島の妖怪として『妖怪名彙』にまとめたもので、道をふさぐ妖怪「塗壁」に類する呼び名として分類されている。もっとも原資料には姿形についての詳しい記述がなく、名前と出現のしかたのみが伝えられている。
Traits
目に見える攻撃を仕掛けてくることはなく、ただ道をふさいで人の足を止めるだけである。棒で叩かれたり、そばで一服されたりすると存在感を失うようにかき消え、実体をつかもうとしても手応えがないと言われる。