見越入道の女、夜道の長首
尼入道
あまにゅうどう
夜道の先に、ぽつんと女が立っている。首が、す、す、と伸びていく。見上げるほどに大きくなるその影に思わず声をのむ――けれど「見越した」の一言で、坊主頭の女はふっと闇に溶ける。
Overview
黄表紙『夭怪着到牒』に描かれた妖怪で、毛深く首の長い女の入道の姿をとる。夜道で人の背丈を越えて伸び上がる見越入道の、女性版にあたる怪とされる。
Encounter
夜更けの山道や辻で、ふと前方に女の影が立つ。見上げれば、首はぬうっと長く伸び上がり、坊主頭の女がこちらを見下ろしている。驚いて足を止めるほど、その影はいよいよ高くのしかかってくる。
Lore
見越入道は夜道で人の前や後ろに現れ、見上げるほど背丈を増す入道形の妖怪で、江戸後期には首を長く伸ばした姿で写されることが多い。尼入道はその女形として、天明期の草双紙に位置づけられた怪である。
Traits
見上げれば見上げるほど大きくなり、気圧された者を金縛りにするが、直接に人を襲ったという話は乏しい。相手が臆せず「見越した」と唱えれば、すっと消え失せるとも伝わる。長い首と坊主頭に、女の怪ならではの妖しさをまとう。