叶わぬ恋の妄念が化けた、群れなす毛虫
幽霊毛虫
焦がれて死んだ想いは、消えるどころか脚を生やす。愛した家の軒に、びっしりと。
Overview
死んだ者の妄念が毛虫と化して現れる。愛する人を追いかけたり、特定の家に害をなしたりする。
Encounter
恋い慕った相手の家や、生前に縁のあった場所に、毒々しい毛虫の群れとなって湧き出す。作物を食い荒らし、住人にさまざまの害をなすが、僧の念仏や読経を向けられると勢いを失い、やがて出てこなくなるという。
Lore
元和元年、奈良・元興寺の僧宥快が柳岡孫四郎という少年に激しく片想いし、恋の病で飲食も喉を通らぬまま死んだ。その想いの強さゆえ少年を冥土へ道連れにし、なお止まぬ妄念が毛虫となって甦って少年の家を荒らしたが、僧が総出で念仏すると出なくなった――と江戸前期の怪談集『狗張子』に記される。
Traits
叶わぬ恋や消えぬ未練といった強い妄念が、死後に毒々しい毛虫の姿をとったもの。相手やその家に取り憑いて執拗に害をなし、一匹二匹でなく群れをなして湧くのが常である。刃物や毒では退けにくいが、僧が心を込めて唱える念仏には抗えず、少しずつ姿を消していく。