山道で人の後をつける、丹沢の山霊
後追い小僧
あとおいこぞう / 山霊
ふり返れば、木の陰にちらり。先を行けば、いつのまにか前を歩いている。声をかければ、ふっと消える。握り飯をひとつ、切り株に置いてやろう。山にはぐれた小さな影が、腹を空かせているのかもしれない。
Overview
神奈川県・丹沢東部の山中に現れる山霊の一種。山を歩く人の後をひたひたとつけ、ときには前に立って道案内をすることもある。正体はまるでつかめないが、人に害を与えることはないという。
Encounter
山道に分け入ると、誰かが後ろからひたひたと追ってくるような気配を覚える。振り向いても何者かが隠れた様子があるだけで、姿は見えない。出るのは夜より昼、とりわけ午後が多く、暗くなれば提灯のような火を灯して現れる。声をかけると、すっと物陰へ消える。
Lore
山は古くから死者の霊が集まる、あの世に近い異界と信じられてきた。後追い小僧もそうした霊が生者になついて現れたものと考えられ、地元では山霊とも呼ぶ。子を亡くした者が、我が子の霊ではと願いを込め、食べ物を山に残す習わしが語り伝えられている。
Traits
つきまとうといっても気配を漂わせるだけで、声も立てず、けっして人を傷つけない。それでも同じことが幾度も続くようなら、握り飯や干し柿、飴玉、薩摩芋などを岩や切り株の上に供えるとよいという。ひとたび供え物を置けば、まとわりつく気配は嘘のように消えてしまう。