九年の坐禅の念がこもった、払子の付喪神

払子守

犬にさえ仏性はあるという。ならば九年、僧の手に振られ続けたこの払子に、悟りが宿らぬ道理があろうか。

払子守 figure art

Danger and Rarity

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

Overview

僧が煩悩や塵を払うのに用いる仏具「払子」が、長年の使用のうちに霊を宿した付喪神。器物でありながら仏性を得て、僧のごとく悟りの相を現すとされる。害をなすことのない、静かな妖怪である。

Encounter

古寺の堂宇や庫裏の片隅、長く振り続けられて役目を終えた払子のもとに現れる。鳥山石燕はこれを、天蓋を戴いて坐禅を組む姿に描いた。近年の妖怪書には、使い古された払子が夜になると独りでに踊り出す、と語るものもある。

Lore

鳥山石燕が妖怪画集『画図百器徒然袋』に載せ、禅の公案「狗子仏性」を引いて解説した。犬にすら仏性があるならば、伝灯を掲げる坐禅の床で九年もの間振られ続けた払子の精にも、坐禅の相が現れてよいはずだ、との趣旨で、達磨が九年面壁したという故事を踏まえる。

Traits

本来は獣毛や麻を束ねて柄をつけ、蚊や塵を払い、転じて煩悩を除く法具である。その精は僧形をとらず、あくまで道具の姿のまま端座してふるまう。長く仏道の場に在った器物が仏性を帯びたものとされ、人に仇なす気配はなく、悟りを求める気配だけを漂わせる。

払子守 cover image