坑道の闇で食を乞い、断れば噛みつく坑内の怪

敷次郎

暗い坑道の奥から、掘る音がする。連れの誰かかと振り向けば、血の気のない顔がこちらを見て、ただ黙って手を差し出している。

敷次郎 figure art

Danger and Rarity

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

Overview

古い鉱山の坑道に棲むとされる妖怪。一見すれば普通の坑夫のようだが、顔は血の気なく蒼白で、人の言葉はまるで通じない。暗い坑内に、鉱石を掘る音や水を汲み上げる音を絶えず響かせるという。「敷」とは坑内の一鉱区を指す語である。

Encounter

坑道を掘り進む者の前に、連れの一人のようにふと現れる。姿を見せる直前には、爪が剥がれるような悪寒が身を貫くのが常だという。岡山の小泉鉛山や愛媛の別子銅山など、各地の鉛山・銅山の暗がりで、その気配が語り伝えられてきた。

Lore

坑内で命を落とす危険と背中合わせだった鉱山の人々の間で語り継がれた怪異である。落盤や出水で坑道に消えた者たちの無念が、闇に響く掘削の音や水汲みの音となって残ったものとも解される。「敷」の一語が示すとおり、鉱区そのものに憑いた土地の怪として畏れられた。

Traits

出会うと食べ物をねだり、これを断れば人に噛みつく。その傷は尋常の薬では癒えず、打敷や袈裟など仏前の布を焼いた灰を油で練り、塗り込めねば治らぬという。声を交わせぬ相手ゆえ、坑夫は分けられるだけの糧を差し出し、静かにやり過ごすよりほかなかった。

敷次郎 cover image