経を待つ間に、亡骸が立ち上がる

死人憑き

経を待つ枕元で、冷えたはずの手が畳をつかんだ。以来その家は、三日のあいだ眠ることを許されなかった。

死人憑き figure art

Danger and Rarity

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

Overview

息を引き取ったはずの人間の体が、にわかに起き上がって暴れ出す怪異。憑いたものの膂力は常人を超え、取り押さえる男たちを引きずり回す。飲食を求めて幾日も眠らず、腐敗が進んでもなお動きを止めなかったと伝わる。

Encounter

長患いの末に息絶えた者を、家人が経をあげる僧の到着を待って見守る——その枕元で起こる。冷たくなったはずの体が突然立ち上がり、声をかけても通じず、飲み食いと騒ぎを繰り返す。葬送の支度が、そのまま怪異の現場に変わる。

Lore

因幡国岩井郡(現・鳥取県岩美郡)の村で、長患いで死んだ百姓の遺体が動き出したと荻原直正『因伯伝説集』が「死人に憑く者」の名で記す。祈祷も効かず、家人はついに遺体を家に閉じ込めて逃れた。数日後に動きが止み、ようやく葬儀が営まれたという。

Traits

冷たい亡骸を内から操り、生前を上回る怪力で暴れる。眠らず飲み食いを欲し、夏場は目や口から腐汁を滲ませながらも活動をやめない。刃物や祈祷で鎮まる気配はなく、封じ込めて時が過ぎるのを待つほかに術がない。

死人憑き cover image