娘をさらい村を荒らした一つ目片足の巨人

波切大王

三十尺の巨人が、たった一足の草鞋に怯えて逃げ出した。海を一跨ぎする豪の者も、己より大きな影には勝てぬらしい。浜に残された大わらじは、今も申の日ごとに海へ送られ、見えぬ大男の影に語りかけている。

波切大王 figure art

Danger and Rarity

A
戦闘力

人の命を奪う明確な攻撃手段を持つ。

A
敵対性

人と見れば襲いかかる、強い害意を持つ。

S
稀少性

ただ一体、一度きりの怪異として語られる。

Overview

波切大王は、三重県志摩市大王町波切に伝わる巨人で、ダンダラボッチとも呼ばれる。沖の大王島に棲み、身の丈は三十尺を超え、一つ目に片足という異形だという。神通力で雲や風を操って村を荒らし、里の娘をさらったが、村人が巨大な草鞋などを見せて「もっと大きな男がいる」と思わせ、退散させたと語られる。

Encounter

志摩半島の突端、太平洋へ突き出た大王崎の沖にある大王島が、その棲み処とされる。秋になると海を一跨ぎして波切の浜へ渡り、踏み出すたび岩を海底へ沈めながら集落へ現れた。雲を呼び風を起こして家々を荒らし、目当ての娘を攫っていったという。

Lore

波切の村人は、大男を追い払おうと浜で畳ほどの大草鞋を編み、村主さまの飯箱や着物と並べて見せた。「これを履く千人力の主がこの村にいる」と聞かされた大王は、自分より大きな者を恐れて青ざめ、逃げ去ったと伝える。以来この地では、九月の申の日に大草鞋を海へ流す神事が続けられている。

Traits

三十尺を優に超す巨躯を持ちながら、海を一跨ぎするほど身軽で、雲と風を意のままに操る神通力を備える。踏み出すたびに岩を海へ沈めるほどの重みがありながら、その気は存外に小さい。力に驕って村を荒らす一方、己より大きな者の気配を察すると、たちまち怖じ気づいて逃げ出してしまう。

波切大王 cover image