自分の死に気づかず、現世をさまよう霊。
浮遊霊
ふゆうれい
自分が死んだと、まだ知らない。だからどこへも行けず、どこへでも行く。人混みに紛れ、電車に揺られ、あなたの隣にふと腰かける——そして気づいてしまったその時から、長い長い彷徨が始まる。
Overview
浮遊霊は、自分が死んだことを理解できない、あるいは受け入れられないために成仏せず、現世をさまよっているとされる霊。特定の場所に縛られず各地を漂い移動するのが特徴で、場所に居付いた地縛霊と対をなす。昭和の心霊ブームのなかで整理・命名された、近現代の霊の類型である。
Encounter
どこに現れるとも定まらない。事故現場や繁華街、乗り物のなか、あるいは何の変哲もない道端に、ふと気配として立ち現れる。特定の土地に留まらず漂い続けるため、出会いは偶然に左右され、居合わせた人にたまたま憑いてくることもあるとされる。
Lore
突然の死などで自分の死を悟れぬ魂が、行き場を失ってさまようと説かれる。特定の場所に居付いたものは地縛霊と呼んで区別される。「浮遊霊」の語は昭和の心霊研究家・中岡俊哉の造語とされ、古典の妖怪ではなく近代の心霊言説のなかで成立した概念である。
Traits
生きた人のように歩き、決まった宿を持たずに漂う。基本的には害をなさぬ無害な存在とされるが、その気配は人に不安や恐怖を覚えさせ、まれに人へ取り憑く。憑かれた者は体調を崩し、運気が下がるといった俗説も語られる。