猫を食らい、猫に成り果てた男
猫男
ねこおとこ
皿の魚を分けてやらなかった、ただそれだけ。猫は死してなお、男の顔と、鼠を追う夜の目を奪っていった。
Overview
猫を殺して食べた男が、猫の祟りにより猫のような形相になり、鼠を食べるなど猫そっくりの奇行をとるようになった。
Encounter
現れるのは尾張の小幡村、いまの名古屋市守山区の一角である。表向きはどこにでもいる村の男だが、日が落ちると天井裏や床下の物音に耳をそばだて、闇の中で爛と目を光らせて身構える。近づいて顔をのぞき込んだ者だけが、その面相が人ならぬものへ変じていることに気づく。
Lore
東春日井郡小幡村に伝わる話。ある男が猫を殺して食べたところ、殺された猫の祟りを受け、顔つきが猫のような形相へと変わり、鼠を捕らえて食うなど猫そっくりの奇行をとるようになったという。猫を害した者に祟りが及ぶという各地の俗信が、人が獣へ近づいてゆく一つの怪異として語られたものである。
Traits
面相は吊り上がって猫のごとく、瞳は暗がりで炯々と光る。物陰を這う鼠の気配を目ざとく捉え、身を低くして忍び寄り、素手で捕らえて生きたまま食らう。人の言葉より獣の習性が勝り、昼は身を潜めて夜に動きまわる。祟りは肉体だけでなく、獲物を狙う本能そのものを塗り替えている。