家に貧と病を積む貧乏神
窮鬼
きゅうき / びんぼうがみ / 貧乏神
痩せた僧が門をくぐった日から、蔵は軽くなり、床には病人が絶えぬ。追い出す術はただ一つ——その家が、これ以上失うもののないほど貧しくなること。
Overview
窮鬼は貧乏神の異称。取り憑いた家に貧困と病、災難を積み重ねる存在で、痩せ衰えて古びた衣をまとう僧体・老人の姿で語られる。江戸後期の随筆『兎園小説』に、江戸番町の武家屋敷を舞台とした話として記録された。
Encounter
すでに傾きかけた家や、怠惰と不潔の漂う住まいに好んで居着く。取り立てて姿を現すことは少なく、災いや長患いが続いて暮らしが理由もなく傾きだしたなら、それが窮鬼の棲みついた証とされた。
Lore
伝承では、番町の武家屋敷で病人が絶えず、仕える男が草加で一人の僧に会うと、僧は『病はみな貧乏神たる自分の仕業。だがこの家は貧窮を極めたので別の家へ移る』と告げ、以後その家の運は上向いた。焼き飯と焼き味噌を折敷に載せ川へ流して送るという俗信も伝わる。
Traits
取り憑いた家では、住む者の運気と財がじわじわ痩せ細り、病と不運が積もっていく。窮鬼自身も骨と皮ばかりに痩せ、古びた衣をまとう。力ずくで追い立てるのは難しく、丁重にもてなして送り出すか、自ら去るのを待つほかないとされた。