一つ目入道に化けて哄笑する六地蔵の怪
笑い地蔵
わらいじぞう / 袈裟切り地蔵 / 袈裟きり地蔵 / けさきりじぞう
六体のうち、どれが笑うのかは分からない。分かるのは翌朝だけ——一体だけが、袈裟懸けに斬られて倒れている。石は、斬られた夜のかたちを今も崩さない。
Overview
静岡・湖西の潮見坂に伝わる、人を化かす石地蔵の怪。道端の六地蔵の一体が、夜ごと一つ目の入道に化けて通りかかる人を驚かしたという。退治に訪れた若侍に斬られて以来、袈裟懸けの傷を負った姿のまま坂に立ち続けると伝わる。
Encounter
東海道の白須賀宿にほど近い潮見坂を、夜半に越えようとするとき。道端に並ぶ六地蔵のうち一体が突として一つ目の入道と化し、赤い舌をのぞかせながらゲラゲラと哄笑を浴びせて、旅人の肝を冷やすという。
Lore
白須賀宿に泊まった若侍が、潮見坂の地蔵が人を化かすと聞いて退治に向かった。地蔵の一体が一つ目の入道に化けて大声で笑ったので若侍が斬りつけると、入道は悲鳴をあげて消え、翌日には地蔵の一体が袈裟懸けに斬られて倒れていた。以来これを袈裟切り地蔵、笑い地蔵と呼ぶという。
Traits
ふだんは道を守る石の地蔵にすぎないが、夜になると一体だけが怪しい入道の相へと化け、天を仰いで笑う。刃を向けられれば悲鳴とともにかき消え、翌朝には元の地蔵に戻っているが、その石身にはくっきりと斬り跡が残るという。人を手にかけることはなく、笑いで驚かすにとどまる。