長い舌で頭を舐める諏訪の老婆
舌長婆
囲炉裏端で麻を績む老婆。眠った連れの額へ、五尺の舌が音もなく伸びていく。
Overview
一メートルもある長い舌で人間の頭をなめる。正体は朱の盤と通じる魔物で、人間を骨にしてしまう。
Encounter
信州・諏訪の千本松原で語られる。越後から江戸へ向かう二人の旅人が、日暮れに道を失って荒れ果てた一軒家にたどり着いた。囲炉裏端では七十ばかりの老婆が黙々と麻を績んでおり、一夜の宿を請うた旅人たちはそこで身を休めることになった。
Lore
会津の三坂大弥太が編んだ怪談集『老媼茶話』に載る一話に由来する。旅人の一人が寝入ると老婆の舌が五尺ほども伸びて眠る連れの頭を舐め、戸の外から『なぜ遅い』と促す声とともに赤ら顔の大男・朱の盤坊が現れた。起きていた旅人が脇差で斬りかかると、二つの怪はかき消えたという。のちに泉鏡花の戯曲『天守物語』にも朱の盤と並んで姿を見せる。
Traits
その舌は眠る者の頭を舐めるや肉を削ぎ落とし、骨だけにしてしまうという。単独では動かず、朱の盤坊と示し合わせて道に迷った旅人を家へ招き入れ、餌食にする。ただし目覚めた者が刃を向けると、たちまち姿を消して逃げ去る。