蓑と草鞋が合体し、鍬を担いで歩む付喪神
蓑草鞋
蓑は神の衣、草鞋は魔を祓う守り。捨て置かれて幾年、雪の竹林にひとり、鍬を担いだ影がぬっと立つ。もとは誰かの相棒だった――その念だけが、いまも野良をとぼとぼと歩いている。
Overview
鳥山石燕の画集『百器徒然袋』に描かれた妖怪。蓑を胴とし、草鞋がそのまま両脚となり、鍬を担いだ姿をとる。古い蓑と草鞋に宿った念が形をなした付喪神とされ、雪の積もる竹林をとぼとぼと歩む老人めいた姿で描かれている。
Encounter
出会うとすれば、人けの絶えた雪深い野辺や、使い古した農具を打ち捨てたような場所であろう。役目を終えて久しい古道具が寄り集まり、うらぶれた旅人のように、あてどなく歩んでいるところに行き合うという。
Lore
蓑は来訪神が身にまとうように呪力を宿すとされ、草鞋もまた妖怪除けの呪物として重んじられた。凶作の年、重い年貢に苦しんだ農民の恨みが、古い蓑や草鞋に移って付喪神と化したものともいう。石燕は先行する百鬼夜行絵巻などの器物の妖怪から着想を得たと考えられている。
Traits
呪力を帯びた道具が寄り合った身であり、人に襲いかかるような荒々しさはない。ただ、使い手の念を吸って生まれた出自ゆえか、どこかうら寂しい気配をまとって現れる。持ち主の知らぬうちに、古びた蓑や草鞋がこうしたものへと変わっていくという。