蛇塚を守り青蛇と赤蛇を握る老婆
蛇骨婆
塚の草をかき分けて、しわがれた笑い声がひとつ。右手に青、左手に赤。夫を封じたその土を、婆は幾年も見張っている。掘り返してごらん――凍る蛇と燃える蛇が、いっぺんにお前を待っている。
Overview
鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』に描かれた老婆の妖怪。体に大蛇を巻き、右手に青蛇・左手に赤蛇を握る姿で示される。蛇塚の主・蛇五右衛門の妻とも、『山海経』巫咸国の住人ともいわれる。
Encounter
蛇五右衛門を封じた蛇塚のほとりに現れる。塚へ近づく者があると、いずこからか這い出して、両手に握った青蛇と赤蛇を突きつけ、けたたましく威嚇して追い払うという。塚を暴こうとする不心得な者ほど、その怒りを買うと恐れられた。
Lore
画に添えられた解説は『山海経』海外西経の巫咸国(女丑の北にあり、右手に青蛇・左手に赤蛇を持つ人が住む地)を引き、蛇骨婆をその住人になぞらえる。また「或説に云」として、蛇塚の蛇五右衛門なる者の妻であり、蛇五婆(じゃごばあ)と呼んだのが訛って蛇骨婆になったとの説を、出典を示さず添えている。
Traits
老いた身ながら大蛇を意のままに操り、後世の妖怪書は、右手の青蛇は近づく者を凍てつかせ、左手の赤蛇は炎で焼き尽くすと語る。夫の眠る塚に固く縛られてそこを離れず、ふだんは塚に潜み、荒らそうとする者が来たときだけ姿を現す番人だという。