八畳の陰嚢で化かす小狸
豆狸
まめだぬき / まめだ
畳だと思って腰を下ろすな。それは今しがた、酒代を数えていた狸の袋かもしれない。
Overview
八畳敷きほどもある陰嚢を持つ小さな化け狸。広げれば座敷ほどにもなるそれを畳や部屋の幻に見せかけて人を化かし、時には自らかぶって別の者に化ける。犬ほどの体に、並の狸をしのぐ知恵を宿すという。
Encounter
山陽や四国、関西を中心とする西日本の里山にひそみ、夜道や人家の座敷で旅人をたぶらかす。徳島では山頂に灯る怪火を豆狸の仕業とし、その火が見えた翌日は必ず雨になると言い伝えられた。
Lore
江戸後期の『絵本百物語』は、豆狸が広げた陰嚢を座敷などの幻に見せて人を化かすさまを記す。山陽では三、四歳の子ほどの老婆に化けるとも伝わり、『土佐化物絵本』にもその姿がとどめられている。
Traits
巨大な陰嚢を自在に伸縮させ、あたりの景色をまるごと偽って旅人を迷わせる。雨を先んじて知り、山上に火を掲げて報せる知恵者でもあるが、化かしはすれども命を奪うような荒事にまでは及ばない。