夜回りを追う正体なき拍子木
送り拍子木
火の用心、と打てば、闇のどこかで同じ拍子が返る。送ってくれているのか、追ってきているのか。
Overview
江戸・本所(現在の東京都墨田区南部)に伝わる本所七不思議の一つ。拍子木を打って夜回りをすると、打ち終えたはずの音が同じ調子で後を追うように響き、振り返っても人影はないという怪。雨の夜、誰も打っていないのに鳴るとも語られた。
Encounter
夜更け、「火の用心」と唱えて拍子木を打ちながら割下水沿いを行くと、その直後、背後からチョンチョンと同じ拍子の音がついてくる。送られているようで気味が悪いが、幾度振り向いても打ち手の姿は見えない。
Lore
本所七不思議に数えられ、割下水で夜回りの拍子木を打つと、それを真似るように音が後ろから響くと語られた。雨の夜、誰も打っていないのに拍子木の音を聞いたという異聞もある。拍子木が提灯に替わった「送り提灯」も同種の怪とされる。
Traits
姿を見せず、音だけで人を送る怪。夜回りの拍子木や声に応じるように鳴り、打ち手の後をどこまでもついてくる。人を害することはなく、ただ背後に絶えず音を響かせて、夜道をゆく者の胆を冷やすばかりだという。