提灯を消し石と相撲をとらせる能登のカワウソ
かぶそ
かわそ / カブソ / カワソ / かわうそ(妖怪) / 川獺
夜の川べり、揺れる提灯がふっと消える。闇の中から十八の娘が手を招く――近づけば、抱いているのは冷たい石。「アラヤ」と獣が笑い、ぬれた尾が水面へ滑り消える。
概要
かぶそは、石川県鹿島郡・羽咋郡でいわれる水辺の妖怪で、妖怪化したカワウソの能登・加賀での呼び名。「かわそ」とも呼ぶ。年を経たカワウソが人語を解し、美女や子供に化けて人をたぶらかすとされる。狐狸と同じく人を化かす動物と信じられ、河童の一種ともいわれた水辺の存在である。
出現
主に夜間、川辺や夜道に現れる。歩く人の提灯の火をふっと消したり、道行く人を呼び止めたりする。十八、九ほどの美女や、碁盤縞の着物を着た小僧に化けて人に近づき、人を化かして石や木の根を相手に相撲をとらせるという。誰何すれば「アラヤ」、素性を問えば「カワイ」と意味の通らぬ答えを返す。
伝承
提灯を消す、美女や小僧に化けて人をたぶらかす、石や木の根と相撲をとらせるといった悪戯の数々は、村上健司編著『妖怪事典』(毎日新聞社、2000年)に記録されている。石川県や高知県などでは河童の一種ともいわれ、カワウソが河童と相撲をとったという話も伝わる。
特徴
人語をまねて話すが、抑揚や語尾がどこか不自然で、問い詰めると要領を得ない返答をする。夜道では提灯の灯を消して人の足元を奪い、化けた姿で相手を誘い、石や木の根を人と思い込ませて相撲をとらせて弄ぶ。狐狸以上に化けるのが巧みとされ、河童に近い水辺の性質を持ち、水遊びの人を惑わすと恐れられた。