亡者の群れが夜ごと渡る飛騨の板橋

がたがた橋

ガタガタ橋

人影ひとつない橋が、夜どおし軋み、囁く。そのざわめきは風でも川でもない。峠の向こうの地獄へと、堕ちてゆく者たちの、これが最後の足音なのだ。

がたがた橋の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

がたがた橋は、飛騨小坂(現・岐阜県下呂市)に伝わる橋の怪異。金右衛門という者の家の前の小さな板橋で、夜ごと橋を渡る激しい音と大勢の話し声が聞こえた。占い師によれば、その道は越中立山の地獄へ続き、渡っているのは地獄へ堕ちる亡者の群れだったという。

出現

山中とはいえ隣村へ通じる、人通りの多い板橋。夜更けになると、橋を渡るガタガタという激しい音と、ひそひそ交わされる大勢の話し声が聞こえてくる。だが外を覗いても人影はどこにもない。雨の夜には、その音に混じって悲しげな泣き声までもがまじるという。

伝承

小島千代蔵『飛騨の伝説』(1933年)に記録された伝説で、宮田登『妖怪の民俗学』(筑摩書房、2002年)などにも、立山地獄へ向かう亡者道の怪異として紹介される。各地には音を伴う橋名が多く、川が橋桁に当たる音を、亡者が渡る音と後付けで解釈したものとする説もある。

特徴

昼は普通の板橋だが、夜更けになると亡者の群れが渡り、ガタガタと音を立て、話し声や泣き声を響かせる。渡る者の姿は生者には見えない。橋の先の道は越中立山の地獄へ通じるとされ、供養の経塚を建てて亡者を弔うと、怪異はやんだと伝えられる。人を直接害した記録はない。

がたがた橋のカバー画像