灰を恐れる、こんにゃく玉の化身の旅僧
こんにゃく坊主
こんにゃく坊 / 蒟蒻坊 / 蒟蒻坊主
「風呂に灰は入っておらぬか」――その問いだけが、旅の僧の正体を薄く透かす。何年も畑で肥え、経まで覚えた蒟蒻玉。いたずらの一掴みの灰が湯に溶けた夜、桶に浮かぶのは、坊主ではなく、ただ一つの玉であった。
概要
こんにゃく坊主は、和歌山県の山間部に伝わる妖怪。正体は寺の裏の畑などで作られた古いこんにゃく玉で、何年も経つうちに旅の坊主に化ける。夜、暗くなると畑を抜け出して人に化け、経も唱えるという。古寺に宿を求め、風呂に入る前に灰の有無をしきりに気にするのが特徴とされる。
出現
山奥の古寺に、旅の坊主の姿をとって宿を求めて訪ねてくる。快く迎え入れられて風呂を勧められると、入浴の前に必ず「風呂に灰が入っていないか」をしきりに尋ねる。何晩も泊まり込み、毎日同じことを聞いてくる。人里離れた古寺で、宿を乞う見知らぬ僧として現れる。
伝承
「こんにゃくの貰い風呂」として語り井上瑤・再話和田寛により昔話に採録され、こんにゃく玉が古びて僧に化ける話として結ばれる。西牟婁郡に伝わる異伝では、風呂に忍び込んだ坊主を狐狸の仕業と疑った寺の者が風呂桶に蓋をして焚き、開けてみると湯の中にこんにゃく玉が一つ浮かんでいたと語られる。
特徴
正体は古びたこんにゃく玉で、灰を極度に恐れる。こんにゃく玉は灰と一緒に煮ると凝固する性質があるためで、いたずらに風呂へ灰を入れられると、化けた坊主は姿を保てず、風呂桶にはこんにゃく玉だけが浮かぶ。害意はなく、宿を借りて泊まり歩くだけの、灰が唯一の弱点の妖怪である。