音を立てて舞う二つの怪火

じゃんじゃん火

ジャンジャン火 / じゃんじゃんび / 残念火

雨の匂いのする六月の夜、川向こうから、ジャン、ジャンと音が近づく。二つの火が、橋の上でひとつにもつれ、離れ、また絡む。――決して、顔を上げてはならない。仰ぎ見た者を、あの火は覚えている。

じゃんじゃん火の立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

じゃんじゃん火は、奈良県各地に伝わる怪火。「ジャンジャン」と音を立てて飛ぶことからこの名がつき、多くは二つの火が対になって現れる。非業の死を遂げた心中の男女や、戦に敗れた武将の怨念が火となったものとされ、出たときは頭を上げて見てはならないという。

出現

雨の降りそうな夏の夜、川辺や城跡、墓地のあたりから、二つの火の玉がジャンジャンと鳴りながら飛び出してくる。橋の上でもつれ合い、絡み合うように舞うが、決してその姿を仰ぎ見てはならない。見てしまった者は祟られ、火に取り憑かれるといって、人々は深く恐れた。

伝承

じゃんじゃん火は鬼火・人魂の一種で、奈良の各地に伝わる。大和郡山市佐保川の打合橋には、身分違いの恋に散った若侍・亀井式部と娘・深雪の悲恋が結び付き、命日の六月七日に慰霊の踊りが行われた。橿原の十市城跡では武将・十市遠忠の怨念とするなど由来には諸説があり、高田十郎編『大和の伝説』などに記録される。

特徴

二つの怪火が「ジャンジャン」と鳴りながら飛来し、橋や川の上でもつれ合うように舞う。多くは非業の死者の怨念とされ、これを仰ぎ見た者に祟るという。天理の首切地蔵の伝説では、火に応戦した浪人が誤って地蔵の首を斬り落とし、自らは妖火に取り憑かれて黒焦げになって死んだと語り伝えられる。

じゃんじゃん火のカバー画像
二つの大きな火の玉が、打合橋の上でもつれ合いながら、じゃんじゃんと音を立てて舞った

大和の伝説