双頭の名医がなれの果て
どうもこうも
どふもこふも / とうもこうも / とうもかうも
右も左も、同じ顔。どちらが「どうも」でどちらが「こうも」か、本人たちにさえもう分からない。
概要
どうもこうもは、一つの体に同じ顔の頭が二つ並んだ姿で江戸期の妖怪絵巻に描かれる存在。石川県江沼郡や長野県小県郡などに伝わる、腕比べの末に同時に首を落として死んだ二人の名医の昔話と結び付けられ、「どうもこうもならない」という言葉の由来譚として語られている。
出現
絵巻物の中にのみ姿を残し、実際に出遭ったという体験談は伝わっていない。石川・長野などの昔話の語りの場で、二人の名医が技比べの末に相果てたその姿として、聞き手の想像の中に立ち現れる存在である。
伝承
尾田郷澄『百鬼夜行絵巻』(1832年)をはじめ、『百物語化絵絵巻』(1780年)など江戸期の複数の絵巻物に、名前と姿のみが記されて登場する。詞書がなく素性は不明だが、後年、石川県江沼郡・長野県小県郡などに伝わる、腕や首を繋ぐ技比べの末に相討ちで死んだ二人の名医の昔話と結び付けて語られるようになった。この昔話は「どうもこうもならない」の由来譚として紹介されるが、言葉自体はこれより古い用例が江戸中期の笑話集にあり、民間語源の一つとされる。
特徴
元は二人の別々の名医であったが、互いの腕、続いて首までも切り離しては繋ぎ直す技比べに興じ、ついには同時に首を落として繋ぐ相手を失い、一つに縫い合わされたまま息絶えたと語られる。そのためか、二つの顔は寸分違わず同じ表情を浮かべ、片方の心だけでは何も決められないまま立ち尽くしているという。
泉水つき山、どふもかふもいへぬ
仕形噺