見上げるほど伸び上がる影

のびあがり

伸上り / のびあがり入道 / 見上入道の類 / タカタカ坊主 / 高坊主(愛媛の類話)

見上げるな、と古老は言う。見上げた分だけ、影は伸びる。二尺、三尺、竹の丈。だが足元を蹴り、「見越したぞ」と一声かければ、伸び上がった影はふっと消える。所詮は川獺の悪戯、丈比べに付き合ってやる義理はない。

のびあがりの立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

夜道や川辺に現れ、見上げるほど高く伸び上がる妖怪。四国を中心に伝わり、正体はカワウソやタヌキが化けたものとされる。足元を蹴るか目を逸らせば消え、「見越した」と唱えても消えるという。

出現

霧の深い夜、川沿いの道をゆく者の前に、地上一尺ほどの黒い影が現れる。何かと見上げれば、影は見上げた分だけずんずんと背を伸ばし、こちらへ倒れかかるように迫ってくる。愛媛の重信川べりや徳島の祖谷、香川の峠道など、水辺と夜道の境に出るという。

伝承

愛媛県北宇和郡や徳島県祖谷地方を中心に四国各地で伝わり、見越し入道の類とされる。武田明「東祖谷聞書」や武智成彬「重信郷村昔話」など昭和期の民俗採録に記録が残る。水木しげる『妖怪大全』は柳田國男『妖怪談義』を引き、声をかけて現れるというより人が勝手にそう見て驚くものだと紹介する。

特徴

出会いはじめは一尺ほどの小さな影だが、見上げるほどに背が高くなり、やがて竹の丈ほどにも伸び上がる。正体はカワウソが化けたものといい、後脚で立つ習性に由来するとされる。東宇和郡では喉元に噛みつき、香川では首を締めるとも。地上一寸あたりを蹴って目を逸らすか、「見越した」と唱えれば消える。

のびあがりのカバー画像