大地を焦がす旱の女神

ひでりがみ(魃)

魃(ばつ) / 旱魃(かんばつ) / 旱母(かんぼ) / 女魃(じょばつ) / 妭(ばつ) / 神魃

空は青く澄みわたり、雲一つない。田は乾いて裂け、川は白い石をさらす。人はこの晴天を恵みと呼ばない。深山から一体の獣が下りてきたのだ。走れば風、留まれば旱。神よ、北へ帰りたまえ。

ひでりがみ(魃)の立ち絵

危険度・希少度

S
戦闘力

国や町ごと滅ぼしかねない、桁外れの力。

S
敵対性

人も土地も選ばず害をなす、災厄そのもの。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

現れると大旱魃を招く中国由来の旱の神。深山に住み、獣の体で風のように速く走る。もとは黄帝の娘・女魃で、蚩尤との戦で雨を止めたのち天へ帰れなくなった存在とされる。

出現

険しい深山、とりわけ剛山と呼ばれる山に潜む。人里へ下ってくると空はにわかに晴れわたり、雲一つなく日が照りつづける。田は割れ、川は干上がり、やがて広い土地が大旱魃に見舞われる。走ること風の如く、その姿を捉えるのは容易でないが、水の中へ投げ入れれば苦しみ悶えて死ぬともいう。

伝承

中国最古の地理書『山海経』大荒北経に、黄帝の娘「女魃」として登場する。蚩尤との戦で敵の雨を止めて勝利へ導いたが、力を使い果たし天へ帰れず、居るところに雨を降らせぬ存在となった。のち『神異経』『本草綱目』『三才図会』が獣形の旱神として記し、江戸期の『和漢三才図会』が「ひでりがみ」と引いて日本へ伝えた。

特徴

身の丈二、三尺、全身を毛におおわれた人面獣身の獣で、手も足も一本ずつしかない。目は頭の上にあるとも伝わる。深山を風のように駆け、その現れる土地には雨が一滴も降らず、たちまち旱魃となる。天へ帰る力を失って以来、大地を焦がしながらさまよい続けているという。

ひでりがみ(魃)のカバー画像
黄帝乃ち天女魃を下す、雨止み、遂に蚩尤を殺す。魃復た上るを得ず、居る所に雨ふらず。

山海経・大荒北経